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無の章
 あの夢から数日が経っていた。
 何事も無く、何もしないでそのままその本を開くことなく。

 寝るのに精進していた。

 ただ、だらだらと居たわけではないが、 そのココロとは裏腹にだらだらと日々を過ごしていた。
 本を読む気がしなかった。

 それでもちらりと不思議な本の表紙を見る。
 何度見てもぼろい。それが第一印象。
 だが、ぼろくても何かに惹かれてしまうのだ。

 「読まなければ、捨てればいいのに」

 読書士と言えど、本当に読んでも意味が無いものや自分用の図書館にある本は処分する。
 それは本当に読んでみないと分からないことだが。

 でも今回の場合は何かが違う。
 捨てきれない。絶対に読まないといけないと感じてしまう。

 「だったら読めばいいじゃない」

 そう言葉を口にして、ぴらりと表紙をめくってみた。







【無の章】


 無はそこにあった。
 無は永遠の時を過ごしていた。
 無は寂しかった。
 無は自分を知らなかった。

 ふと見つけたのが星だった。
 小さな赤ん坊。無邪気にワタシの元へと現れた。
 興味本心に傷を付かせてみた。わんわんとそれは泣いた。
 次は殺してみた。手を止めることは無く、永遠に殺してみた。
 だが、それは死ななかった。そして無邪気にワタシの元へと現れた。

 これが、生命なんだとワタシは感じた。

 それには「シオン=アブソリュード=スフィア」と名づけた。
 シオンはワタシを「スフィア」と…「母」と名づけた。



 年を重ねていくたびに、シオンのような者が現れていった。
 シオンも寂しいようだったので二人の子供を創ってあげた。
 子供は純粋なる闇から生まれた。後に「クロウリー」と名をつけることになる。
 髪は白く、瞳は美しい灰黒。
 一人は「オメガ」、一人は「シェイド」と名をつけた。
 初めは「シェイド」は人懐っこくシオンに甘えてきた。
 「オメガ」はまず感情が無く、いつも「シェイド」にくっついていた。
 幸せの時はいつまでも続くと感じていた。

 そんな時に事件が起きた。
 無には一部「穴」が開いていたのだが、その穴に「シェイド」は吸い込まれるように落ちていってしまった。
 手を指しのばしても無駄だった。
 「穴」が行き着く場所は…死だ。

 それからシオンは泣いた。泣いて泣いて泣いて…ある日混沌と共に寝てしまった。
 ワタシも…「スフィア」も泣いた。泣いて泣いて泣いて…1000年もの眠りについた。

 その眠りの間に「スフィア」はココロとココロが分裂してしまった。
 母というココロと、神というココロの二つに。
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2007/05/15 09:43 | Comments(0) | 未選択

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