僕は彼女と共に、近くの公園へと散歩がてら来ていた。
そして、彼女にこう言ってみた。
「君は、図書館に篭っていて人生終わるのかい?」
「ええ、それが私の人生だから」
「君は、人生の全てを棒に振るってるよ?」
「ええ、それが性なのだから」
「君は…」
僕は、彼女の方へと真剣に見つめてみた。
「君は、それでいいのかい? そんな生活で楽しいのかい?」
僕は見ていられなかった。
だって彼女は…―
「毎日楽しくないわ。でも、それでいいの。だって、私は…」
彼女は「読書士」というある種の魔女なのだから。
「本を読むのを止めることができないから」
そう言い、彼女は微笑んで公園を去っていった。
彼女のことを取材してからは、僕はいてもたってもいられなくなった。
それほど、彼女は不思議で自分なりの意思をもっていたし、なによりもそれぐらい魅力があった。
たまにはお茶をとこちらから勧めると図書館で篭るのをやめて、出てくるのだが。
ああ、と僕は彼女が去っていった道路を見て溜息をついた。
「はてさて。いつになったら彼女にプロポーズできるのか」
例え、いまのままでプロポーズなどしても、断られるのは99%だが。
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